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厚生局の指導等及び医療監視への対応策「療養担当規則第20条2の(投薬)にかかる内容について」


今月は、療養担当規則第20条2の(投薬)にかかる内容について、ご説明いたします。こちらの20条の内容を知ることで、今までの投薬に係る査定理由をより理解していただけるかと思います。


第20条(診療の具体的方針)

2 投薬  イ 投薬は、必要があると認められる場合に行う。  ロ 治療上1剤で足りる場合には1剤を投与し、必要があると認められる場合に2剤以上を投与する。  ハ 同一の投薬は、みだりに反覆せず、症状の経過に応じて投薬の内容を変更する等の考慮をしなければならない。

 

投薬は、その必要性を十分考慮した上で、適応、用法、用量等の薬事法上の承認事項に沿って行われることが原則であることより、査定を防ぐためには、適応病名だけではなく、定められた用法・用量・禁忌情報に沿った投薬になっているかどうかの確認も重要となります。

<審査における査定理由>


①適応外・・・「病名もれ」、「臨床上保険適応とならないもの」など

 

②過 剰・・・常用量以上の投与、多剤投与、高価薬投与など

 

③重 複・・・薬効類似薬品の同時投与、薬効類似の内服と注射など

 

④規則違反・・禁忌、不適当、用法外使用など

 

①適応外

 

 突合点検では、すべての薬剤について適応症との関係が審査されます。基本的に「病名もれ」で減点となった場合は、都道府県によって判断が異なりますが、再請求を行ってもほとんどのケースで認められないため、レセプト確認または日々の業務の際には入念なチェックが必要です。

 

 適応外の例として、「胃潰瘍、急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期」に適応があるテプレノン、レバミピドを、それ以外の単なる慢性胃炎の患者に対して投与等が挙げられます。

 

②過剰

 

 審査委員会では、「降圧剤に限らず、重症例での薬剤の算定用量については、原則【用法・用量】に適宜増減とある薬剤は、2倍量を上限とする。上限量が示されている薬剤については、その量を上限とする。」とされています。上限を超えて処方が必要であると判断された際には、レセプトにコメントを付して請求しなければ査定されることになるでしょう。

 

③重複

 

 具体的な例としては、胃粘膜保護剤の重複投与またはH2ブロッカーに加え胃粘膜保護剤投与が挙げられます。

 

④規則違反

 

(病名禁忌例として主なもの)

 

ア 胃潰瘍の患者に投与したロキソニン、ボルタレンサポ等

 

イ 高カリウム血症の患者に投与したスピロノラクトン等

 

ウ うっ血性心不全の患者に投与したリスモダン等

 

療養担当規則20条2のハに「みだりに反覆せず」と記載がありますが、長期漫然投与が行われている投薬についても減点の対象となります。

 

(長期漫然投与の例)

 

ア メチコバール錠の月余にわたり漫然と投与

 

イ 投与期限を超えた胃・十二指腸潰瘍患者に対するタケプロンの漫然投与

 

 今回は、療養担当規則20条2の「投薬」イ~ハまでに係る説明を行いました。次回は、残りのニ~トに関する内容の説明を行います。

能見 将志(のうみ まさし)

診療情報管理士。中小規模の病院に18年間勤務(最終経歴は医事課長)。 診療報酬改定、病棟再編等を担当。診療情報管理室の立ち上げからデータ提出加算の指導まで行う。