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厚生局の指導等及び医療監視への対応策「療養担当規則の11条(入院)について」


診療報酬専門研究員の能見です。今回は療養担当規則の11条(入院)についてご説明します。

なぜ布団やシーツにかかる費用の実費請求はできないのか。


第11条(入院)

第11条 保険医療機関は、患者の入院に関しては、療養上必要な寝具類を具備し、その使用に供するとともに、その病状に応じて適切に行い、療養上必要な事項について適切な注意及び指導を行わなければならない。

医療機関における寝具は、看護及び給食と同様に医療の一環として入院患者等がより良い環境条件のもとに快適な入院生活を送ることができるよう、常に安心・安全で衛生的な寝具類の提供が求められており、昭和33年6月には基準寝具に対して社会保険が適用され、昭和37年6月には外部委託も認められました。そして、現在では病床を持つ医療機関として当然整備すべきものとして入院基本料に含まれるようになっています。

入院料等の通則1:健康保険法第63条第1項第5号及び高齢者医療確保法第64条第1項第5号による入院及び看護の費用は、第1節から第4節までの各区分の所定点数により算定する。この場合において、特に規定する場合を除き、通常必要とされる療養環境の提供、看護及び医学的管理に要する費用は、第1節、第3節又は第4節の各区分の所定点数に含まれるものとする。

したがって、布団だけではなく、シーツ、枕、枕カバーなどの寝具類に係る費用を実費請求することはできません。また、医療機関によっては、シーツの上に防水シーツを重ねたり、「寒い」と言われる患者には電気アンカを提供したりする場合がありますが、それらは条文上「その病状に応じて適切に行い」との部分に該当します。よって、別に患者に対して請求することはできません。また、「患者の希望で頻繁にシーツ交換を要求されるが、当院では週1回と決めているので頻回な要求分は自費を頂いて良いか?」という質問がありますが、シーツ自体が「療養環境の提供」に含まれるため、患者へ請求を行うことはできません。

第11条2 保険医療機関は、病院にあっては、医療法の規定に基づき許可を受け、若しくは届出をし、又は承認を受けた病床の数の範囲内で、診療所にあっては、同法の規定に基づき許可を受け、若しくは届出をし、又は通知をした病床数の範囲内で、それぞれ患者を入院させなければならない。ただし、災害その他のやむを得ない事情がある場合は、この限りでない。

厳しく指摘されるオーバーベッド。算定方法詳しくご存じですか?


届出病床数を超えて入院させるケースを定数超過入院(いわゆるオーバーベッド)と言います。保険医療機関が定数超過入院に該当すると、算定する入院料の種別ごとに減額して請求することとなります。なお、定数超過で患者を受け入れる場合の算定方法は次のように定められています。

<定数超過入院の算定方法> 第1 入院患者数の基準及び入院基本料の算定方法 1.入院患者数の基準については次のとおりである。ただし、入院患者数は1月間(暦月)の平均入院患者数とし、その計算方法は別紙1に定めるところによる。 (1)病院の場合   医療法(昭和23年法律第205号)の規定に基づき許可を受け、若しくは届出をし、又は承認を受けた病床数(以下「許可病床数」という)のうち病床の種別ごとの病床数にそれぞれ100分の105を乗じて得た数以上 (2)有床診療所の場合   許可病床数に3を加えて得た数以上 2.入院基本料〔第3の3により届出された入院基本料及び特別入院基本料(7対1特別入院基本料及び10対1特別入院基本料を含む)を含む。以下第1の2及び第2において同じ〕の計算方法については、当該保険医療機関に入院する患者について算定すべき入院基本料の種別ごとに次のとおりとする。 (1)療養病棟入院基本料(特別入院基本料を含む)、有床診療所療養病床入院基本料(特別入院基本料を含む)及び特定入院基本料の場合   診療報酬の算定方法別表第1医科診療報酬点数表(以下「医科点数表」という)又は別表第2歯科診療報酬点数表(以下「歯科点数表」という)に規定する入院基本料の所定点数の100分の90に相当する点数 (2)(1)以外の入院基本料の場合   医科点数表又は歯科点数表の所定点数の100分の80に相当する点数 3.災害等やむを得ない事情で1の基準に該当した場合には、当該入院した月については、2の措置は適用しない。 (平18保医発0323003、最終改定:平22保医発0319・3、平22.5.17事務連絡)

オーバーベッドについては、保健所等の立ち入り検査では厳しく指摘される傾向があります。もちろん、既述のような基準に該当した場合は、定数超過受け入れ分の返還が生じることとなりますので、十分にご注意ください。

能見 将志(のうみ まさし)

診療情報管理士。中小規模の病院に18年間勤務(最終経歴は医事課長)。 診療報酬改定、病棟再編等を担当。診療情報管理室の立ち上げからデータ提出加算の指導まで行う。