今月は、「外来迅速検体検査加算」の算定について解説致します。
外来迅速検体検査加算とは、外来患者に対して厚生労働大臣の定める検体検査について、検査実施日のうちに結果を説明した上で文書により情報を提供し、当該検査の結果に基づく診療が行われた場合に、5項目を限度として、検体検査実施料の各項目の所定点数にそれぞれ10点を加算することができます。また、同一患者に対して、同一日に2回以上、その都度迅速に検体検査を行った場合も、1日につき5項目を限度に算定できます。
別表第9の2 検体検査実施料に規定する検体検査(外来迅速検体検査加算の対象検査)
区分番号 | 検査項目 |
D000 | 尿中一般物質定性半定量検査 |
D002 | 尿沈渣(鏡検法) |
D003 | 糞便検査のうち糞便中ヘモグロビン |
D005 | 血液形態・機能検査 「1」赤血球沈降速度測定(ESR) 「5」末梢血液一般検査 「9」ヘモグロビンA1c(HbA1c) |
D006 | 出血・凝固検査 「2」プロトロンビン時間(PT) 「10」フィブリン・フィブリノゲン分解産物(FDP)定性・半定量・定量 「15」Dダイマー |
D007 | 血液化学検査 「1」 総ビリルビン、総蛋白、アルブミン、尿素窒素、クレアチニン、尿酸、アルカリホスファターゼ(ALP)、コリンエステラーゼ(ChE)、γ-グルタミルトランスフェラーゼ(γ-GT)、中性脂肪、ナトリウム及びクロール、カリウム、カルシウム、グルコース、乳酸デヒドロゲナーゼ(LD)、クレアチンキナーゼ(CK) |
D008 | 内分泌学的検査 「6」甲状腺刺激ホルモン(TSH) 「14」遊離サイロキシン(FT4)、遊離トリヨードサイロニン(FT3) |
D009 | 腫瘍マーカー 「2」α-フェトプロテイン(AFP) 「3」癌胎児性抗原(CEA) 「9」前立腺特異抗原(PSA)、CA19-9 |
D015 | 血漿蛋白免疫学的検査 「1」C反応性蛋白(CRP) |
D017 | 排泄物、滲出物又は分泌物の細菌顕微鏡検査 「3」その他のもの |
算定留意事項について
1.外来迅速検体検査加算の対象となるすべての検体検査について、同日中に結果を報告した場合のみ算定できます。
2.検査結果の文書様式については、定められていません。検査結果のコピーでも構いません。
3.時間外緊急院内検査加算と同時には算定できません。
4.院内検査と外注検査が混在する場合、すべて同日中に結果が報告されていれば、外注検査であっても算定可能です。
5.現に入院中の患者については算定できません。ただし、外来を受診した患者に対し、迅速に実施した検体検査の結果、入院の必要性を認めて、引き続き入院となった場合は入院レセプトで算定できます。
6.以下の多項目包括規定に掲げる点数を算定する場合には、その規定にかかわらず、実施した検査項目数に相当する点数を加算します。
「D006」出血・凝固検査の注の場合
「D007」血液化学検査の注の場合
「D008」内分泌学的検査の注の場合
「D009」腫瘍マーカーの注2の場合
例:患者から1回に採取した血液等を用いて「D009」腫瘍マーカーの「3」の癌胎児性抗原(CEA)と「9」のCA19-9を行った場合、検体検査実施料の請求「D009」腫瘍マーカーの「注2」の「イ」2項目となるが、外来迅速検体検査加算は、行った検査項目数が2項目であることから、20 点を加算する。
外来迅速検体検査加算の算定においては、レセコンにて対象検査に対し、自動的に算定する仕組みが確立されていると思いますが、算定要件を再確認いただき、算定漏れや算定誤りについて検証されることをお勧めいたします。

能見 将志(のうみ まさし)
診療情報管理士。中小規模の病院に18年間勤務(最終経歴は医事課長)。 診療報酬改定、病棟再編等を担当。診療情報管理室の立ち上げからデータ提出加算の指導まで行う。