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「AXについて」

 耳に慣れてきた「DX」という言葉が「AX」へと取って代わろうとしています。AX(AIトランスフォーメーション)とは、AI技術を活用して業務プロセスやビジネスモデルを抜本的に変革し、効率化・生産性向上・競争力強化を実現する取り組みを指します。

 DX(デジタルトランスフォーメーション)がクラウド、IoT、モバイルなどのデジタル技術を総合的に活用して業務やサービス全体を革新するのに対し、AXはその中でもAI技術に特化し、データ分析の自動化、予測モデル構築、意思決定支援などを通じて、より高度な効率化を図ります。つまり、DXが「デジタルを使って変える」段階であるのに対し、AXは「AIによって自律的に進化する」段階と言えます。 医療・介護分野では、このAXの活用が急速に進展しています。医療現場では、診断支援AIがCT・MRI・レントゲン画像から病変を自動検出し、医師の判断を補助することで診断精度とスピードを大幅に向上。また、予測医療として電子カルテや検査データをAIが解析し、発症リスクや再入院リスクを事前に予測します。さらに、カルテ記載の自動生成、問診票の自動分類、薬剤チェックの自動照合などによる業務効率化も進んでいます。

 介護分野でも、介護記録の自動生成・要約によって職員の報告作業が効率化され、センサーや映像データを解析して転倒・離床リスクを予測・通知する仕組みが導入されるなど、利用者の安全確保と事故防止に寄与しています。 AIが大量のデータを解析して業務を最適化することで、ミスの削減、処理速度の向上、属人的判断の排除を実現し、従業員が創造的で付加価値の高い業務に集中できる環境が生まれます。今後、どの業界においても「AXを使いこなせる人材」をどれだけ確保できるかが、競争力を左右する重要な鍵となりそうです。

 

原田 和将

一般社団法人 アジア地域社会研究所 所属
介護現場での管理者としての経験を活かした職員研修、コーチングを中心に活動。コーチングはITベンチャーなど多岐にわたる業態で展開。国立大学での「AIを活用した介護職員の行動分析」の実験管理も行っており、様々な情報を元にした多角的な支援を行う。