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「デジタルアドレスについて」

 日本郵便が6月26日より「デジタルアドレス」の運用を開始します。これは、住所を英数字7桁に置き換える新たな住所表現です。郵便番号に加え、都道府県・市区町村・番地・建物名・部屋番号まで、いわば“全文住所”を簡略化し、コード化したものです。この7桁を入力するだけで正確な宛先情報が呼び出され、ユーザーの入力の手間や誤入力のリスクを大きく軽減することができます。  

 運用はまず、日本郵便のオンラインサービス「ゆうID」に登録している約1500万人のうち、希望者への発行から始まっています。専用アプリを使えば、ゆうパックなどの送り状をこのコードひとつで作成できるため、建物名や部屋番号を手入力する必要がなくなります。引っ越しをしても専用ページで住所を更新すれば、同じアドレスを引き続き使用可能です。「人にひもづく住所」という新しい概念は、今後のビジネスシーンにも波及していくことが予想されます。  

 どの業種であったとしても、物品の納品管理など、住所入力の精度とスピードが問われる場面は少なくありません。今後、取引先や連携業者がこのアドレスに対応していくことで、事務的な工数削減やトラブル防止につながる可能性があります。さらに、通販サイトを運営する企業や物流各社にも利用が呼びかけられており、今後デジタルアドレスが社会に浸透すれば、医療機関の「送り・受け取り」に関する業務の在り方そのものが見直される契機となるかもしれません。  

 こうした日常業務の効率化につながる変化に機敏に対応していくことは、やがて訪れる大きなイノベーションの波を確実に捉える力となります。業務の「当たり前」を見直す柔軟さこそが必要です。

 

原田 和将

一般社団法人 アジア地域社会研究所 所属
介護現場での管理者としての経験を活かした職員研修、コーチングを中心に活動。コーチングはITベンチャーなど多岐にわたる業態で展開。国立大学での「AIを活用した介護職員の行動分析」の実験管理も行っており、様々な情報を元にした多角的な支援を行う。