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「カスタマーハラスメント」について

関係省庁連携会議の開催

令和7年1月17日、「カスタマーハラスメントの防止対策の推進に係る関係省庁連携会議」の第1回会議が開催されました。本会議では、カスタマーハラスメント(以下、カスハラ)の深刻化を受け、労働環境の保護や事業主の責任強化、関係省庁間の連携について議論が行われました。

特に、医療機関におけるカスハラは、患者や家族からの暴言や不当な要求が医療従事者の負担を増やすため、適切な対策が求められています。

カスハラの定義と必要な対応

厚生労働省は、カスハラを「顧客や取引先が行う、社会通念上相当な範囲を超えた言動であり、労働者の就業環境を害するもの」と定義し、病院や介護施設もこれに準じた対応を行う必要があります。

まず、カスハラを防ぐための方針を決め、それを患者や家族に伝えることが重要です。具体的には、カスハラに該当する行為を明確に示し、院内掲示やパンフレット、ウェブサイトなどを活用して環境を整えていきます。

また、職員がカスハラを受けた際に速やかに相談・報告できるよう、病院や施設内の対応体制をしっかり整備することも求められます。

職員の研修とAI技術の活用

さらに、職員向けの研修を行い、カスハラにどう対応すべきかを学ぶ機会を作ることも大切です。例えば、カスハラの兆候を早い段階で察知し、適切な距離を保つ方法を知ることで、職員が落ち着いて対応できるようになります。

また、AIが応対するチャット技術を導入することで、患者や家族からの問い合わせ対応を自動化し、医療介護スタッフの負担を減らすこともできます。一次対応をAIチャットが行い、必要な場合のみ職員が応対する仕組みを導入する企業も増えています。

今後の展望

令和7年1月の関係省庁連携会議では、カスハラ対策の一環として、消費者に対し「正当なクレーム」と「カスハラ」を区別し、適切な対応を求める方針が示されました。

病院でも、患者の権利を尊重しつつ、医療従事者が安心して働ける環境を整えるため、明確な対応基準を定め、職員への研修や技術の活用も求められます。

今後、病院が積極的にカスハラ対策を講じることで、より安全で健全な医療環境の確立が期待されます。

 

原田 和将

一般社団法人 アジア地域社会研究所 所属
介護現場での管理者としての経験を活かした職員研修、コーチングを中心に活動。コーチングはITベンチャーなど多岐にわたる業態で展開。国立大学での「AIを活用した介護職員の行動分析」の実験管理も行っており、様々な情報を元にした多角的な支援を行う。