今月は、保険外併用療養費の中でも比較的新しい制度である「患者申出療養」について、ご説明いたします。 患者申出療養は、2016年4月から開始した制度です。この制度は、未承認薬等の先進的な医療について、困難な病気と闘うための患者からの申し出を受けて、安全性や有効性等を確認し、一定のルールにより保険診療との併用が認められています。(図表1)また、将来的に保険適用につなげるためのデータや根拠を集積する目的も兼ね備えています。
(図表1)
患者申出療養として、実施されることが想定されるケースとその対応については、以下のとおりです。
①既に実施されている先進医療の実施計画対象外の患者に対する医療 →前例のない患者申出療養として、新たに実施計画の作成(先進医療の実施計画を変更する場合を含む。)を求め、国で審査(※)を行う。(※先進医療としての実施医療機関追加や実施計画変更につながる場合もありうる。)
②先進医療としても患者申出療養としても実施されていない医療
→前例のない患者申出療養として、新たに実施計画の作成を求め、国で審査を行う。
③現在行われている治験の対象とならない患者に対する治験薬等の使用
→1)人道的見地からの治験の実施につなげることを検討する。
2)前例のない患者申出療養として、新たに実施計画の作成を求め、国で審査を行う。
患者申出療養を申出するときは、申出をしようとする患者と主治医は、患者の病状にあった治療法について、よく相談していただくことが必要です。相談された主治医は大学病院等と連携して対応します。保険外の治療方法が患者さんに適しているかの検討や情報収集を実施します。さらに、既存の患者申出療養や先進医療で行われている、又は治験実施中の治療かどうかの情報収集を実施。治療のための計画を立てるために十分な情報があるかの情報収集を実施します。(図表2)
費用については、未承認薬等の金額などの患者申出療養に係る費用は全額自己負担です。患者申出療養に係る費用以外の一般の診療(診察料・入院料・検査・投薬・注射等)は、保険が適用されます。
(図表2)