解説:M&Cパートナーコンサルティング代表 村上佳子
本文の情報確認時点:2026年11月2日
「前回と同じお薬ですから、会計も前回と同じでいいですよね」
クリニックの日常業務では、こんな場面があるのではないでしょうか。いつも通院されている患者さんで、処方にも大きな変更がない。そうすると、外来管理加算も前回どおりに入力してしまいがちです。
反対に、「今日は採血をしたので、外来管理加算は付けないでおこう」と判断しているケースもあるかもしれません。
でも、外来管理加算は、処方が変わったかどうか、検査をしたかどうかだけでは判断できないんですね。
私は、院内で確認するときには、「どのような診察・説明をしたか」「当日、何を実施したか」「ほかの管理料との関係はどうか」「記録が残っているか」という四つの視点を共有していただきたいと思います。
今回は、この四つを日常の再診に当てはめながら、一緒に整理していきましょう。
マンガで確認する外来管理加算
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■ まず、外来管理加算は「再診なら付く52点」ではありません
令和8年度の外来管理加算は52点です。入院中以外の患者さんに対し、所定の計画的な医学管理を行った場合に、再診料に加えて算定します。[1]
ここで押さえておきたいのは、「再診料を算定できるから、外来管理加算も算定できる」という関係ではないことです。
外来管理加算には、診察や説明などの要件があります。また、指定された検査や、処置、リハビリテーションなどを行った場合の制限もあります。
ですから、確認は二段階で考えると分かりやすいですよ。
まず、外来管理加算に必要な診療を行ったか。次に、当日の診療行為や、ほかの算定項目との関係で、算定できない条件に当たらないか。この両方を確認します。
「処置をしていないですね。では算定しましょう」という確認だけでは、診療内容の確認が抜けてしまいます。一方で、十分な診察・説明を行っていても、併算定の制限に該当する場合があります。
診察室の情報と会計の情報をつなげることが大切なんです。
■ 「いつもの薬」でも、その日の診察を見てください
例えば、前回と同じ薬を継続する患者さんを考えてみましょう。
前回からの症状の変化や薬を飲んだ後の状態を聞き、必要な身体診察を行う。その結果を踏まえて、今の治療を続ける理由や、生活上の注意点を説明する。処方内容は同じでも、その日の状態を確認して判断しているわけですね。
このような診療と、「変わりありませんか。では、いつもの薬を出しますね」という簡単な症状確認だけで終わる診療は、分けて考える必要があります。
通知では、丁寧な問診と詳細な身体診察を行い、病状や療養上の注意点などを説明するとともに、患者さんの疑問や不安の解消に取り組むことが示されています。簡単な症状確認だけで継続処方した場合は、外来管理加算を算定できません。[2]
ただし、通知に出てくる診療例を、毎回一字一句同じように実施するという意味ではありません。患者さんの状態に応じて、必要な内容を行うという取扱いです。
大事なのは、会計担当者が「薬が同じだから」「診察が短かったから」と推測で決めないことです。診療録を確認し、それでも分からないときは、医師に確認する流れを作っておきましょう。
■ 「検査をしたから算定できない」は、少し大ざっぱです
ここは、院内の確認表を作っておくと役立つところです。
外来管理加算の算定を妨げる検査は、通知で区分が指定されています。すべての検査が対象になっているわけではありません。
例えば、血液や尿の検体検査を行ったことだけを理由に、外来管理加算が一律に算定できなくなるわけではありません。一方で、超音波検査や内視鏡検査などは、指定された検査区分に含まれます。[1][2]
| 当日行ったこと | 外来管理加算との関係 |
|---|---|
| 血液・尿などの検体検査 | 実施したことだけで、一律に算定不可とはならない |
| 通常のエックス線撮影などの画像診断 | 実施したことだけで、一律に算定不可とはならない |
| 超音波検査等、脳波検査等、神経・筋検査 | 指定された検査区分に当たり、算定できない |
| 耳鼻咽喉科学的検査、眼科学的検査、負荷試験等 | 指定された検査区分に当たり、算定できない |
| ラジオアイソトープを用いた諸検査、内視鏡検査 | 指定された検査区分に当たり、算定できない |
この表の上の二つは、「その検査や撮影をすれば外来管理加算も算定できる」という意味ではありませんよ。診察・説明の要件や、ほかの算定制限は別に確認する必要があります。
また、院内で使っている呼び方にも注意してください。「画像を見る検査だから画像診断だろう」といった判断はできません。超音波検査は、この取扱いでは指定された生体検査に当たります。
私は、院内の確認表には、普段使っている検査名と、点数表上の名称・区分を並べておくとよいと思います。「検査があったか」から一歩進めて、「どの検査を行ったか」を確認できるようにするわけです。
■ 処置やリハビリは、「請求したか」だけで確認しないでください
外来管理加算では、慢性疼痛疾患管理のほか、リハビリテーション、精神科専門療法、処置、手術、麻酔、放射線治療との関係も確認します。[1]
ここで気を付けたいのが、「会計に処置料が入力されていないから、外来管理加算を算定できる」という判断です。
通知では、処置・リハビリテーション等について、診療報酬点数のあるものを対象としています。したがって、実際に行った対象行為を請求から外すだけで、外来管理加算を算定できることにはなりません。[2]
確認する順序は、まず「何を行ったか」、次に「その行為が点数表上どう扱われるか」です。
診察室で実施した処置が、会計に伝わるのが遅れることもあるでしょう。リハビリの実施確認が、診察の会計とは別の画面にある場合もありますね。そうした院内の情報の流れも、一度確認してみてください。
なお、日常的に「処置」と呼んでいる行為が、すべて同じ扱いになるわけではありません。名称だけで判断せず、診療報酬上の区分や取扱いに照らして確認することが必要です。
■ 複数科を受診した日は、院内全体で見ましょう
同じ医療機関で、内科と整形外科など、複数の診療科を受診する患者さんもいらっしゃいますね。
二つ以上の傷病で複数科を受診し、一方の科で処置や手術等を行った場合には、他科で外来管理加算を算定することはできません。[2]
ですから、内科の担当者が「こちらでは処置をしていません」と確認しただけでは足りない場合があります。
会計が診療科ごとに分かれていたり、診療情報の入力時刻がずれたりすると、他科で実施したことを見落としやすくなります。診療科をまたいで受診する患者さんについては、最終的に誰が当日の診療内容を確認するのか、決めておくとよいでしょう。
また、同日二科目の再診料に、通常の再診料と同じ感覚で外来管理加算を付けないことも大切です。二科目の再診料には、加算の制限があります。[1]
「一つの診療科では問題がなくても、患者さんの一日全体ではどうか」。この視点を共有しておきたいですね。
■ 生活習慣病管理料は、「同じ月」と「同じ日」を分けてください
生活習慣病管理料との関係は、ぜひ正確に押さえていただきたいところです。
生活習慣病管理料(Ⅰ)・(Ⅱ)には、外来管理加算の費用が含まれます。そのため、管理料を算定した日に、外来管理加算を別に加えることはできません。[1][2]
ただし、「今月は生活習慣病管理料を算定しているから、その月は外来管理加算を一切算定できない」と考えるのは違います。
令和6年3月28日の疑義解釈その1・問133では、管理料の算定日とは別日に同じ医療機関を受診した場合、外来管理加算の要件を満たせば算定可能とされています。[3]
例えば、月初に生活習慣病管理料を算定し、その後、同じ月の別日に再診があったとします。この別日の診療については、その日に行った診察・説明や検査・処置等を確認して判断します。
| 受診の場面 | 考え方 |
|---|---|
| 生活習慣病管理料(Ⅰ)・(Ⅱ)を算定した日 | 外来管理加算は管理料に含まれる |
| 同じ月の別日の受診 | 外来管理加算の要件を満たせば算定可能 |
| ほかの包括的な診療料・管理料を算定する場合 | 各項目の包括範囲・併算定制限を個別に確認する |
ここで、「別日だから付けてよい」と自動判断しないでくださいね。別日に算定できる余地があることと、その日の診療が実際に要件を満たしていることは、別の確認です。
また、この取扱いを、生活習慣病管理料に含まれるほかの費用や、別の管理料にそのまま当てはめることもできません。「包括される」という言葉だけでまとめず、項目ごとに確認しましょう。
■ 電話・オンライン・家族だけの来院も、再診料とは分けて考えます
電話で患者さんから相談を受け、必要な指示を行った場合など、再診料を算定できる場面があります。ただし、電話等による再診では、外来管理加算は算定できません。情報通信機器を用いた再診も、外来管理加算の対象にはなりません。[1][2]
また、やむを得ない事情で本人を診察せず、看護に当たっている方から症状を聞いて薬剤を投与した場合も、外来管理加算は算定できません。[2]
ここでは、受診方法が会計に正確に伝わっているかを確認してください。
いつもは本人が来院されていても、今回は家族だけが来院しているかもしれません。前回の会計を呼び出して使う運用では、こうした違いが抜け落ちることがあります。
一方、「本人が受診して、家族が問診を補助した」という場面は、家族だけが来院した場合とは異なります。「家族が話した」という情報だけで判断せず、本人にどのような診察を行ったのかを確認しましょう。
■ 「5分以上か」ではなく、診療内容と記録を見ましょう
「外来管理加算は、5分以上診察しないと算定できないのでは?」
今でも、このように覚えている方がいらっしゃるかもしれません。いわゆる5分ルールは、平成22年度に廃止されています。現在の要件として扱わないようにしてください。[4]
ただ、時間の要件がなくなったことと、診察・説明の内容を確認しなくてよいことは違います。
診療録については、患者さんから聞き取った事項や診察所見の要点を記載することが、通知に示されています。[2]
院内で記録を見直すのであれば、次のような内容を確認できると、診療の継続にも役立ちます。
前回から、どのような症状の変化があったか。
必要な診察を行い、どのような所見が得られたか。
その結果をどう判断し、何を説明したか。
これは、記録を分かりやすくするための運用上の提案です。独自の書式や、三項目すべての記入を、全国共通の必須要件として求めるものではありません。
大切なのは、実際に行った診療が分かることです。「この定型文を入れれば算定できる」という運用にすると、記録と診療の実態が離れてしまいます。
会計担当者が内容を判断できないときは、文章を推測して補うのではなく、医師に確認できるようにしておきましょう。
■ 最後は、医師と事務で確認の流れを共有しましょう
ここまで見てくると、外来管理加算は、会計画面だけで完結する確認ではないことが分かると思います。
診察・説明の内容は医師に、処置や検査の実施状況は担当部署に、管理料の算定状況は医事担当者に、それぞれ情報があります。その情報を、会計までにつなげる必要があるんですね。
次の表は、院内で使う確認表の一例です。
| 確認事項 | チェック |
|---|---|
| 算定の前提 | □ 再診料の加算として算定できる受診である |
| 診察・説明 | □ 必要な問診・身体診察・説明等が行われている |
| 当日の診療行為 | □ 指定検査、処置、リハビリ等の実施状況を確認した |
| 他科の診療 | □ 同じ医療機関の他科で行った処置等も確認した |
| 包括・併算定 | □ 管理料等の包括範囲と、同日・別日の関係を確認した |
| 受診方法 | □ 電話・オンライン・本人不在の受診に該当しないか確認した |
| 診療録 | □ 聴取事項や診察所見の要点が記録されている |
この表を、毎回全員が一から記入する必要はありません。自院で間違えやすいところを見つけて、確認する担当者やタイミングを決めるために使っていただくとよいと思います。
例えば、複数科受診が多ければ他科の実施情報を確認する仕組みを、前回会計の引継ぎが多ければ受診方法と当日の診療行為を見直す仕組みを作る。自院の業務に合わせることが大切です。
外来管理加算の確認は、算定漏れを探すだけでも、算定できない条件を探すだけでもありません。実際に行った診療を、正しく診療報酬につなげるための確認です。
「いつもの再診だから」で済ませず、今日の診療を確かめる。その習慣を、医師とスタッフの皆さんで共有していただきたいと思います。
原典の確認について
本稿は、2026年11月2日時点で確認した資料に基づく一般的な整理です。個別の診療行為や算定する診療料によって取扱いが異なるため、実際の請求では、厚生労働省の最新の告示・通知・疑義解釈等の原典をご自身でもご確認ください。
M&Cパートナーコンサルティング代表
村上佳子
病院医事課で12年間勤務した後、医療事務サービスで講師・派遣社員の教育を担当。ヘルスケア経営研究所を経て、2000年にメディカル21、2013年に一般社団法人医療実務研究会を設立。2022年にM&Cパートナーコンサルティング代表取締役に就任。病院・診療所のレセプト診断、減点・請求もれ対策、経営相談、事務職員の教育・指導に携わる。
■ 出典・参照箇所
[1]厚生労働省「令和8年度 医科診療報酬点数表」
A001再診料・注3、注8、注9、生活習慣病管理料(Ⅰ)・(Ⅱ)
[2]厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」医科点数表に関する事項(令和8年10月7日訂正後)
A001再診料(2)、(4)、(7)、生活習慣病管理料(Ⅰ)・(Ⅱ)
[3]厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その1)」(令和6年3月28日)
別添1・問133
[4]厚生労働省・中央社会保険医療協議会資料
「外来管理加算等の評価・要件の経緯」








