こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。
これまで6回にわたって、マイナ保険証と資格確認書の受付対応についてお話ししてきました。
最終回は、これを実際の院内運用に落とし込みましょう。
制度を知っているだけでは、忙しい受付では使えません。
大切なのは、
「この患者さんが来たら、次に何をする」
まで決めておくことです。
■ケース1 マイナ保険証を持参した
まずは通常どおり、顔認証付きカードリーダーで資格確認します。
顔認証または暗証番号で本人確認を行います。
これが基本形です。
スマートフォンのマイナ保険証については、自院が対応している場合に利用できます。
■ケース2 資格確認書を持参した
有効な資格確認書で受付します。
そして、オンライン資格確認が可能であれば、資格確認書に記載された情報をもとに現在の資格の有効性も確認しましょう。
「資格確認書だからオンライン資格確認は関係ない」というわけではありません。
資格喪失後の受診を防ぐためにも大切です。
■ケース3 「資格情報のお知らせ」だけを持参した
資格情報のお知らせだけでは、原則として通常の資格確認は完了しません。
まず、
「マイナンバーカードはお持ちですか?」
と確認します。
患者さんには、
「これは保険証そのものではなく、マイナ保険証がうまく確認できないときなどに補助的に使う書類です」
と説明すると分かりやすいでしょう。
■ケース4 マイナ保険証が読み取れない
ここで絶対に、
「では10割です」
と即答しないでください。
マイナポータルの資格情報、資格情報のお知らせなど、代替の確認方法を検討します。
再診患者で医療機関側に必要な資格情報がある場合には、変更がないか口頭確認する方法があります。
初診等で確認できない場合には、被保険者資格申立書を使用する方法があります。
■ケース5 「資格無効」「資格情報なし」と表示された
画面表示だけで「無保険」と判断しません。
転職や保険者変更直後などで、新しい資格情報の登録が間に合っていない可能性もあります。
他の資格確認方法へ進みます。
患者さんには、
「保険が無効です」
ではなく、
「現在、オンラインで資格情報を確認できない状態ですので、別の方法で確認します」
と案内しましょう。
この言い方の違いは、とても大きいです。
■ケース6 暗証番号が分からない・顔認証できない
まず、顔認証または暗証番号のどちらかが使えないか確認します。
両方難しい場合には、受付職員による目視確認があります。
特に高齢者や障害のある患者さんが多い医療機関では、スタッフが目視確認の操作方法を事前に練習しておくことをおすすめします。
■ケース7 マイナンバーカードを忘れた
「カードを持ってきたが読み取れない」のとは別のケースです。
資格確認書など、他に資格を確認できるものがないか確認します。
院内で「カード忘れ」の取扱いを統一しておきましょう。
■ケース8 電子証明書の期限に関する表示が出た
期限が切れたからといって、その場ですぐマイナ保険証として使えなくなるとは限りません。
一定期間は資格情報の確認が可能です。
患者さんには更新手続きを案内します。
受付スタッフが「カード本体の有効期限」と「電子証明書の有効期限」を混同しないようにしましょう。
■受付に置くなら「1枚のフローチャート」に
ここまで読んで、
「やっぱり覚えることが多いな」
と思われたかもしれません。
その通りです。
だから、私はスタッフ全員に覚えてもらおうとは思いません。
受付の横に、A4一枚で、
①マイナ保険証
↓ダメなら
②代替の資格確認方法
↓確認できなければ
③再診=既存情報+口頭確認
④初診等=被保険者資格申立書
という流れを置いておけばいいのです。
そして別枠で、
資格確認書 → 単独で資格確認可能
資格情報のお知らせ → 原則として単独では不可
と書いておく。
これだけでも現場はかなり変わります。
マイナンバーカードの取扱いも確認しておく
受付では、患者さんの了承を得たうえで、保険請求に必要な範囲でマイナンバーカードの表面を確認したり、一時的に預かったりすることがあります。
必要な場合には表面をコピーして管理することも認められています。
ただし、注意してください。
カード裏面に記載されたマイナンバーを書き写したり、裏面をコピーしたりしてはいけません。
「表は必要に応じて確認できる。裏面の番号は収集しない」
というルールも院内で共有しておきましょう。
■一番大切なのは「受付で止めない」こと
このシリーズの最後に、私が一番お伝えしたいことがあります。
マイナ保険証の制度は確かに複雑です。
でも、受付スタッフの仕事は制度試験で100点を取ることではありません。
患者さんが診療を受けに来られたときに、
「確認できません」
で終わらせず、
「では次の方法で確認しましょう」
と言えることです。
マイナ保険証が読めない。
資格情報が出てこない。
暗証番号が分からない。
高齢の患者さんが操作できない。
どれも起こり得ます。
そんなときこそ、受付スタッフが落ち着いて、
「大丈夫ですよ。別の確認方法があります」
と言える医療機関であってほしいと思います。
マイナ保険証への対応で本当に必要なのは、新しい機械を導入することだけではありません。
患者さんがどんな状態で窓口に来ても、スタッフが同じ判断基準で対応できる仕組みを作ること。
ぜひ、この機会に皆さんの医療機関でも受付マニュアルを見直してみてください。
(制度内容は2026年9月時点)

