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立入検査で慌てない院内準備――事務長が整えるべき書類・記録・改善計画(第6回/全6回)

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こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。

6回にわたって、令和8年度の立入検査で医療機関が確認されるポイントを見てきました。

最終回の今回は、立入検査で慌てないために、事務長さんが整えておきたい院内準備についてお話しします。

立入検査というと、どうしても「いつ来るのか」「何を見られるのか」という不安が先に立ちます。

もちろん、検査項目を確認することは大切です。

ただ、それ以上に大切なのは、日頃から説明できる状態を作っておくことです。

書類がある。

記録がある。

担当者が分かっている。

改善状況を説明できる。

この状態を作っておけば、立入検査のときにも落ち着いて対応できます。

まず確認したいのは、医療安全に関する資料です。

医療安全管理指針、医療安全管理委員会の議事録、研修記録、インシデント・アクシデント報告、重大事故時の対応フロー、死亡事例の確認プロセス、遺族対応の記録。

これらが整理されているかを確認します。

単にファイルに入っているだけでなく、直近の内容に更新されているか、実際に運用されているかが大切です。

次に、サイバーセキュリティです。

サイバーセキュリティ対策チェックリスト、システム資産台帳、ネットワーク構成図、バックアップの実施記録、復元確認の記録、ID管理、退職者IDの削除記録、委託先一覧、障害時の連絡先、サイバー攻撃時の初動対応手順。

こうした資料を整理しておきます。

難しい専門資料を完璧に作る必要はありません。

まずは、自院にどのようなシステムがあり、誰が管理し、トラブル時に誰へ連絡するのかを見える化することが大切です。

オンライン診療を実施している医療機関では、オンライン診療に関する資料も必要です。

医師の研修受講記録、対象患者や対象疾患のルール、患者説明文書、同意書、本人確認の方法、通信トラブル時の対応、診療録記載のルール、オンライン診療受診施設を利用する場合の役割分担。

オンライン診療は、便利な仕組みである一方、運用が曖昧だとトラブルにつながります。

医療機関として、どのように安全性を確保しているかを説明できるようにしておきましょう。

広告規制と自由診療についても確認が必要です。

ホームページ、ランディングページ、SNS、院内掲示、チラシ、料金表、説明同意書、症例写真の掲載同意、自由診療のリスク説明。

これらを一度棚卸ししてみてください。

とくに、ホームページは一度作ったらそのままになっていることが多いです。

診療内容が変わった。

料金が変わった。

担当医が変わった。

キャンペーンが終了した。

それなのに、古い情報が残っていることがあります。

古い情報や不正確な情報も、患者さんに誤解を与える原因になります。

また、無資格者による医療行為の防止も大切です。

誰がどの業務を行ってよいのか。

医師、看護師、診療放射線技師、事務職、看護助手、外部業者の業務範囲は明確か。

コンタクトレンズ診療や美容医療、エックス線撮影、医療機器業者の立会いなどでは、特に注意が必要です。

「昔からこうしているから大丈夫」と思っている業務の中に、実は見直しが必要なものがあるかもしれません。

人員配置についても、勤務表、常勤換算、職種ごとの配置状況、欠員時の対応を確認しておきます。

人員配置標準を満たしていない場合には、行政への情報提供につながることもあります。

病院だけでなく、有床診療所や一定の機能を持つ医療機関でも、自院の配置状況を定期的に確認しておくことが大切です。

災害対策では、EMISへの医療機関基本情報の入力状況も確認したいところです。

災害時に支援を受けるためには、医療機関の基本情報が正しく登録されていることが重要です。

連絡先、診療機能、病床、受入れ状況など、古い情報のままになっていないか見直しましょう。

そして、立入検査で指導事項や不適合事項があった場合の対応です。

立入検査は、指摘を受けたら終わりではありません。

指摘事項について、改善計画書の提出を求められる場合があります。

その際には、何を、いつまでに、誰が、どのように改善するのかを具体的に示す必要があります。

「今後注意します」だけでは不十分です。

たとえば、研修未実施を指摘されたのであれば、実施日、対象者、研修内容、今後の定期開催ルールを示す。

サイバー対策の不足を指摘されたのであれば、資産台帳の整備、バックアップ確認、委託先との連絡体制整備など、具体的な対応を示す。

広告表示を指摘されたのであれば、該当ページの修正、公開前チェック体制、今後の更新ルールを示す。

改善計画は、行政に提出するためだけのものではありません。

自院の管理体制を整えるための計画でもあります。

事務長さんには、ぜひ立入検査を「怒られないための準備」としてではなく、「院内管理を見直す機会」として捉えていただきたいと思います。

医療安全、サイバー、オンライン診療、広告、無資格者行為、人員配置、災害対策。

一つひとつは別のテーマに見えます。

でも、共通しているのは、医療機関として責任を持って管理しているかということです。

最後に、事務長さん向けの確認ポイントをまとめます。

1つ目は、院内のルール、担当者、記録の所在を一覧化すること。

2つ目は、医療安全、サイバー、オンライン診療、広告などを部門任せにせず、管理者と事務長さんが全体を把握すること。

3つ目は、指摘を受けたときに、具体的な改善計画を出せるよう、日頃から改善の記録を残しておくことです。

立入検査は、特別な日のイベントではありません。

日常の管理運営が、そのまま確認される場です。

だからこそ、普段から少しずつ整えていくことが、いちばんの対策になります。 この連載が、院長先生、事務長さん、そして現場で働くスタッフの皆さんにとって、自院の管理体制を見直すきっかけになれば幸いです。

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