こんにちは。
M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。
今回は、令和8年度診療報酬改定における常勤要件・人員配置基準の柔軟化のうち、看護職員が一時的に不足した場合の取扱いについてお話しします。
200床未満の病院では、看護職員の確保が大きな経営課題になっています。
採用募集を出しても応募が来ない。
ようやく採用できても、家庭の事情や体調不良で急に退職になる。
産休、育休、介護休業、病休が重なる。
夜勤ができる職員が限られている。
こうしたことは、どの病院でも起こり得ます。
これまでは、看護配置基準を満たせなくなると、施設基準の届出や入院料の区分に直結するため、事務長さんや看護部長さんは非常に神経を使ってきたと思います。
今回の改定では、平時から看護職員確保の取組を行っているにもかかわらず、突発的で想定困難な事情により、一時的に看護職員を確保できない場合について、一定条件のもとで配置基準の取扱いが柔軟化されます。
ポイントは、
「一時的」
「やむを得ない事情」
「平時から採用努力をしている」
この3つです。
まず、「一時的」という点です。
今回の見直しでは、看護要員数などに一定の一時的変動があった場合、3か月を超えない期間に限り、変更の届出を行わなくてもよい取扱いが設けられています。
ただし、これは「3か月までは何もしなくていい」という意味ではありません。
むしろ、問題が起きた時点で、すぐに状況を整理しなければなりません。
いつから不足しているのか。
どの病棟で不足しているのか。
不足の理由は何か。
採用活動はどうしているのか。
残っている職員に過度な負担がかかっていないか。
こうしたことを、病院として説明できる状態にしておく必要があります。
次に、「やむを得ない事情」です。
例えば、突然の退職、病気休職、産休・育休の重なりなど、病院が通常想定できない事情は考えられます。
一方で、もともと採用活動をほとんどしていなかった。
人件費を抑えるために慢性的に人員を絞っていた。
不足が分かっていたのに放置していた。
こうした場合は、「やむを得ない」と説明するのは難しくなります。
そして最も大事なのが、平時から採用努力をしていることです。
厚生労働省の資料では、公共職業安定所、いわゆるハローワークや、都道府県ナースセンター等の無料職業紹介事業を活用すること、民間職業紹介事業者を利用する場合には適正認定事業者を含むこと、自院のウェブサイトで採用情報を公表することなどが示されています。
ここで、200床未満病院の事務長さんにぜひお願いしたいことがあります。
それは、
採用活動の証拠を残しておくこと
です。
求人票を出している。
ハローワークに登録している。
ナースセンターを活用している。
ホームページに採用ページを掲載している。
紹介会社とやり取りしている。
面接を実施したが採用に至らなかった。
条件を見直した。
こうした事実は、あとから説明できるようにしておく必要があります。
特に重要なのは、求人票です。
資料では、報告時点で有効な求人票を添付することが示されています。
つまり、看護師が足りなくなってから慌てて求人票を作るのではなく、普段から採用活動を継続していることが大切です。
もう一つ、忘れてはいけないのが、残っている看護職員の労働時間管理です。
看護師が不足すると、どうしても残っている職員にしわ寄せがいきます。
夜勤回数が増える。
時間外勤務が増える。
休みが取りづらくなる。
委員会活動や研修参加が難しくなる。
こうした状況を放置すると、さらに退職者が出てしまいます。
今回の柔軟化は、施設基準上の取扱いだけでなく、現場を守るための一時的な猶予と考えるべきです。
事務長さんに確認していただきたいのは、次の3点です。
まず、毎月の看護配置を早めに確認すること。
次に、採用活動の記録を残すこと。
そして、看護部長と一緒に、労働時間や夜勤負担を確認すること。
看護職員の不足は、医事課だけの問題ではありません。
看護部だけの問題でもありません。
病院経営そのものの問題です。
今回の改定を機に、看護配置の管理を、単なる施設基準チェックではなく、採用・労務・病棟運営を一体で見る仕組みに変えていくことが大事です。
次回は、常勤要件が週32時間から31時間へ見直される点についてお話しします。

