こんにちは。
M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。
最終回の今回は、令和8年度診療報酬改定における入院診療計画書の見直しについて、200床未満の中小病院が確認すべきポイントを整理します。
今回の改定は、単なる書類変更ではありません。
一言でいうと、
「署名を集める管理」から、
「説明した事実と内容を残す管理」への転換です。
これまでの入院診療計画書は、署名欄があることで、説明が行われたことを確認している面がありました。
しかし今後は、署名ではなく、説明日と説明者を診療録上で確認する運用になります。
また、電子保存の場合は、患者さんに交付したものと同じ内容の文書が電子媒体で保存され、その文書で説明した日と説明者が分かることが重要です。
では、院長先生、事務長さんは何を確認すればよいのでしょうか。
まず1つ目は、入院診療計画書の様式です。
古い様式のまま、患者さんやご家族の署名欄が残っていないか。
説明日と説明者を記載する欄があるか。
患者さんに渡す文書と、診療録に保存する文書の内容が一致しているか。
ここを確認してください。
2つ目は、説明記録の場所です。
説明日と説明者を、どこに記録するのかを決めます。
医師記録なのか。
看護記録なのか。
文書内なのか。
電子カルテの所定欄なのか。
病棟ごとにバラバラにならないように、院内で統一しておくことが大切です。
3つ目は、役割分担です。
医師は、入院目的、治療方針、入院期間の見込み、退院後の治療方針を説明する。
看護師は、入院生活、転倒予防、服薬、食事、退院後の生活面を補足する。
医事課は、様式、保存、記録漏れの確認を行う。
地域連携室は、退院支援や介護サービスとの接続が必要な患者さんについて、説明内容と支援方針をつなぐ。
このように、職種ごとの役割を整理します。
4つ目は、予定入院の外来説明です。
外来で説明できるものは、入院前に前倒しします。
予定手術。
検査入院。
短期入院。
入院日が決まっているケース。
これらは、入院当日にすべて説明するのではなく、外来時点で説明・文書交付・電子保存まで進められるかを確認します。
5つ目は、2日以内の短期入院の省略ルールです。
2日以内だから自動的に省略、ではありません。
診療に支障がないか。
退院後の治療に支障がないか。
退院後の生活に支障がないか。
必要な説明を行っているか。
省略した旨を診療録に記載しているか。
この判断基準を明確にします。
6つ目は、電子保存・スキャン保存のルールです。
電子カルテ内の保存場所はどこか。
文書名は統一されているか。
スキャンする場合、誰がいつ行うのか。
患者さんに交付した文書と同じ版が保存されているか。
修正があった場合、修正版と説明記録が残るか。
ここを決めておくと、個別指導や院内監査の際にも説明しやすくなります。
7つ目は、退院支援との接続です。
200床未満の病院では、入院診療計画書と退院支援は切り離せません。
特に、高齢患者さん、独居の患者さん、介護保険サービスを使う患者さん、在宅医療につなぐ患者さんでは、入院時の説明が退院後の生活に直結します。
入院診療計画書を単なる書類として扱うのではなく、退院支援の入口として活用する視点が大切です。
今回の改定は、現場の負担を減らすチャンスです。
しかし、署名欄を消しただけでは、業務改善にはなりません。
様式を見直す。
説明記録の場所を決める。
職種ごとの役割を整理する。
予定入院では外来説明を前倒しする。
短期入院の省略基準を決める。
電子保存のルールを整える。
退院支援とのつながりを確認する。
この7点を確認していただきたいです。
入院診療計画書は、紙のための紙ではありません。
患者さんに、これからの入院診療の見通しを伝えるためのものです。
署名がなくなっても、説明の大切さは変わりません。
むしろ、これからは、
「ちゃんと署名をもらったか」ではなく、
「患者さんに必要な説明を行い、その内容を確認できる形で残しているか」
が問われます。
200床未満の中小病院こそ、今回の改定をきっかけに、入院説明業務をシンプルに、分かりやすく、現場に合った形へ見直していただければと思います。

