こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。
6回にわたって、令和8年度診療報酬改定における回復期リハビリテーション病棟入院料の見直しについてお話ししてきました。
最終回の今回は、改定後に中小病院が確認すべきポイントを整理します。
まず1つ目は、実績指数です。
入院料1は42以上、入院料2は32以上、入院料3は37以上、入院料4は32以上が求められます。特に入院料2・4は、新たに実績指数の要件が入っていますので、早めに試算しておく必要があります。
また、歩行・車椅子、トイレ動作が5点以下から6点以上に上がった場合の加点、除外対象患者の見直し、除外割合の縮小もあります。
過去の数字をそのまま見て安心せず、改定後の計算方法で確認してください。
2つ目は、重症患者割合です。
重症患者の対象範囲は、FIM21点以上55点以下の患者、高次脳機能障害と診断された患者、脊髄損傷と診断された患者などに見直されています。新規受入割合は、入院料1・2で3割5分以上、入院料3・4で2割5分以上です。
重症患者を受け入れることは、地域における回復期リハ病棟の大切な役割です。
ただし、受け入れた後に、どのようにADLを改善し、どこへ退院してもらうのかまで設計しておかないと、病棟運営は苦しくなります。
3つ目は、7日リハ体制です。
入院料1・2だけでなく、入院料3・4についても、土曜日・休日を含めたすべての日にリハビリテーションを提供できる体制が求められます。土曜・休日の提供単位数も平均3単位以上など、曜日による著しい差がない体制が求められています。
ここは、リハ部門だけの努力では限界があります。
人員配置、シフト、休日勤務、代休、看護部門との連携まで、病院全体で考える必要があります。
4つ目は、高次脳機能障害の患者さんへの退院支援です。
改定後は、高次脳機能障害者支援センター、他の保険医療機関、障害福祉サービス事業所・施設、児童福祉法に基づく事業者などの情報をあらかじめ把握し、該当患者さんの退院時に、患者さんや家族等へ説明・提供することが求められます。必要に応じて、利用予定先へリハビリテーション総合実施計画書等を文書で提供することも求められています。
疑義解釈では、地域の全ての事業所情報を患者に提供することまでは求めていない一方で、高次脳機能障害の患者に適したものに関する情報を把握し、全ての高次脳機能障害患者の退院時に提供できる状態が必要とされています。なお、地域情報の把握・整理に一定の時間を要することを踏まえ、令和8年12月31日までは情報の把握や整理を現に実施している場合も含むとされています。
これは、MSWだけに任せるのではなく、病院として地域資源リストを持つということです。
5つ目は、退院前訪問指導です。
今回、退院前訪問指導料は出来高で算定できるように見直されています。ただし、入院後早期に退院前訪問指導の必要があり、退院前訪問指導料を2回算定する場合には、リハビリテーション総合計画評価料の入院時訪問指導加算との併算定はできないとされています。
退院前訪問は、加算のためだけではありません。
自宅の段差、トイレ、浴室、玄関、ベッド周り、家族の介助力を確認することで、退院後の生活の失敗を減らすことができます。
6つ目は、実績指数等の公表です。
改定後は、退棟患者数や状態区分別内訳、直近のリハビリテーション実績指数について、少なくとも3か月ごとに院内掲示することに加え、ウェブサイトにも掲載することが要件となっています。自院で管理するホームページ等を有しない場合はこの限りではありません。
これは、事務部門が必ず関わるところです。
「リハ部門が数字を持っているはず」ではなく、誰が、いつ、どの数字を確認し、誰がホームページに反映するのかを決めておく必要があります。
最後に、院長先生、事務長さんにお伝えしたいことがあります。
今回の改定は、回復期リハ病棟にとって厳しい面もあります。
実績指数、重症患者割合、土日リハ、退院支援、Web公表。
どれも現場の負担につながります。
しかし、見方を変えると、自院の回復期リハ病棟を見直すよい機会でもあります。
これからの回復期リハ病棟は、単に「リハをたくさん提供する病棟」ではありません。
患者さんの生活を見て、ADLを改善し、家に帰す。
必要な人には地域資源につなぐ。
急性期病院、介護保険、障害福祉サービスと連携する。
その実績を数字で説明できる。
そういう病棟が評価される時代になっています。
200床未満の中小病院だからこそ、地域との距離が近く、患者さんの生活に寄り添える強みがあります。
今回の改定を、単なる施設基準対応で終わらせず、自院の回復期リハ病棟を強くするきっかけにしていただきたいと思います。
注記
本稿シリーズは、作成日時点で公表されている令和8年度診療報酬改定の告示・通知・疑義解釈等をもとに作成しています。今後の通知、疑義解釈、訂正事務連絡等により取扱いが変更される可能性がありますので、実際の届出・算定にあたっては、最新の資料をご確認ください。

