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令和8年度診療報酬改定で、生活習慣病管理料は何が変わるのか?“管理している”から“どんな管理をしているか”が問われる時代へ(第1回/全5回)

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こんにちは。村上佳子です。

今回は、令和8年度診療報酬改定の中でも、内科系のクリニックにとって特に影響が大きいと思われる「生活習慣病管理料」についてお話しします。

生活習慣病管理料というと、「糖尿病」「高血圧症」「脂質異常症」の患者さんを継続的に診ている医療機関では、すでに日常的に関わっている項目だと思います。令和6年度改定では、これらの疾患が特定疾患療養管理料の対象から外れ、生活習慣病管理料として整理されました。そこからさらに今回、令和8年度改定では、生活習慣病管理料の考え方がもう一段階進んだ、という印象です。

一言でいうと、今回の改定は、「生活習慣病を管理しています」だけではなく、「どのような中身の管理をしているのか」が問われる方向に変わってきた、ということです。

これまでも、もちろん生活習慣病管理料は、患者さんに療養計画を説明し、生活習慣の改善を支援し、重症化を防ぐことを目的とした点数でした。ただ、今回の改定では、その考え方がさらに明確になっています。

厚生労働省の資料でも、生活習慣病管理料による医学管理のイメージとして、診療ガイドライン等を参考にした質の高い疾病管理、継続した受診や定期的な検査、歯科・眼科との連携、多職種連携、医療DXを活用した情報共有などが示されています。つまり、生活習慣病管理は、医師が診察室の中で説明して終わり、というものではなく、患者さんの生活を支えながら、必要な検査や連携を積み重ねていくものとして位置づけられているのです。

ここは、現場の皆さんにとって非常に大事なポイントです。

「生活習慣病管理料を算定できるかどうか」という話になると、どうしても点数や要件の確認に目が向きます。もちろん、それはとても大切です。算定要件を満たしていなければ、点数は取れません。

ただ、今回の改定で見ておきたいのは、それだけではありません。

これからは、自院がどのような生活習慣病管理をしているのかを、診療の流れとして説明できるかどうかが大事になります。

たとえば、糖尿病の患者さんであれば、血糖値やHbA1cの数値を見るだけではありません。食事、運動、服薬状況、生活環境、合併症のリスク、眼科受診の状況、歯科との関わりなど、さまざまな視点があります。

高血圧症の患者さんであれば、血圧の数値だけではなく、家庭血圧の確認、服薬継続、塩分摂取、体重管理、他疾患との関係なども重要です。

脂質異常症の患者さんでも、検査値の推移、食生活、運動習慣、動脈硬化リスク、他の生活習慣病との重なりを見ていく必要があります。

つまり、生活習慣病管理料は、単に「病名があるから算定する」という点数ではなく、患者さんの生活に寄り添いながら、重症化を防ぐための継続的な管理を評価する点数だと考える必要があります。

今回の改定で特に象徴的なのが、「充実管理加算」の新設です。

これは次回以降で詳しくお話ししますが、簡単にいうと、従来の外来データ提出加算の考え方から一歩進み、データに基づいて、より質の高い管理を評価していこうという仕組みです。元記事でも、今回の改定について、単なる点数調整ではなく、制度の性格そのものが見直された改定であり、データに裏付けられた“質の高い管理”を評価する仕組みとして充実管理加算が導入されたと整理されています。

ここで気をつけたいのは、「データを出せばよい」という話ではないことです。

もちろん、データ提出の体制整備は重要です。しかし、その前提として、日々の診療の中で、患者さんの状態を適切に把握し、必要な検査を行い、療養計画を立て、患者さんと共有し、必要に応じて見直していくことが求められます。

私は今回の改定を見て、生活習慣病管理料は、これまで以上に“クリニックの外来診療の質”を映し出す項目になっていくと感じています。

たとえば、院長先生が頭の中では患者さんの状態をよく把握していても、それが療養計画や診療録、検査の流れ、スタッフとの共有に落とし込まれていなければ、医療機関全体としての管理体制とは言いにくいかもしれません。

逆に、医師、看護師、管理栄養士、医事課スタッフがそれぞれの役割を理解し、患者さんへの説明や検査案内、次回受診の声かけ、連携先の確認などを自然に行えている医療機関では、生活習慣病管理料の本来の趣旨に近い診療ができていると言えるのではないでしょうか。

ですから、今回の改定を受けて、まず医療機関で考えていただきたいのは、点数表を見ることだけではありません。

自院では、生活習慣病の患者さんに対して、

「誰が、いつ、何を確認しているのか」
「検査のタイミングは整理されているのか」
「療養計画は、患者さんに伝わる形になっているのか」
「眼科や歯科など、必要な連携につながっているのか」
「データ提出に対応できる体制があるのか」

こうしたことを、一度棚卸ししてみることが大切です。

生活習慣病の患者さんは、短期間で治療が完結するわけではありません。長く通院しながら、少しずつ生活を整え、重症化を防いでいく必要があります。だからこそ、クリニックには、患者さんの身近な場所で継続的に支える役割があります。

今回の改定は、その役割を改めて評価しようとしているとも言えます。

もちろん、現場からすれば、「また要件が増えるのか」「データ提出まで求められるのか」と負担に感じる部分もあると思います。そこは、決して軽く見てはいけません。

ただ一方で、きちんと生活習慣病管理に取り組んでいる医療機関にとっては、自院の診療の質を見直し、患者さんへの支援を整理する良い機会にもなります。

今回の改定を、単なる算定項目の変更として受け止めるのではなく、自院の生活習慣病診療を見直すきっかけとして捉えていただければと思います。

次回は、生活習慣病管理料(Ⅱ)の包括範囲の見直しについて、もう少し具体的に見ていきます。
「これまで包括されて算定できなかったものが、今回どう整理されたのか」という、医事課の皆さんにとっても実務上気になるポイントをお話ししていきます。

■今回のポイント

今回の改定では、生活習慣病管理料が単なる点数調整ではなく、診療の中身や質を評価する方向へ進んでいることが大きなポイントです。

これからは、「算定できるか」だけでなく、自院がどのような生活習慣病管理をしているのかを説明できる体制づくりが重要になります。

まずは、患者さんへの説明、検査、療養計画、院内連携、地域連携、データ提出体制について、自院の現状を棚卸しするところから始めてみましょう。

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