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「Cera Careについて」

 英国発の在宅介護企業 Cera Care は、AIとデジタル技術を中核に据え、高齢者の在宅生活を支える次世代型ケアモデルを構築している企業です。Ceraの最大の特長は、訪問介護や看護といった人によるケアを基盤としながら、AIによる予測・分析を介護プロセスそのものに組み込んでいる点にあります。

 Cera Careでは、介護スタッフが訪問時にスマートフォンアプリを用いて、体調、睡眠、食事、水分摂取、気分などのデータを日常的に記録します。これらの膨大な生活・健康データをAIが解析し、転倒、感染、体調悪化、入院リスクなどを事前に予測します。異常の兆候が検知されると早期介入が可能となり、重症化や不要な入院を防ぐ「予防型在宅介護」が実現されています。これは、従来の出来事対応型の介護から一線を画すアプローチです。

 また、これらのデータは家族ともアプリを通じて共有されており、離れて暮らす家族でも日々の健康状態やケアの状況を確認できます。さらに、アプリ上で介護スタッフやケアチームと直接連絡を取ることができるため、体調変化や不安を即座に共有でき、家族を含めたケアの一体化が図られています。

 AIはケアの質向上だけでなく、運営面にも活用されています。シフト調整やケア計画、管理業務をAIが支援することで、スタッフは記録や調整作業に追われることなく、本来のケアに集中できる環境が整えられています。Cera Careの取り組みは、AIを単なる効率化ツールではなく、人の判断とケアを支える基盤技術として位置づけている点に本質があります。

 さらに注目すべきは、こうした仕組みが介護スタッフの経験や勘を否定するのではなく、AIによってそれらを裏打ちし、判断の質を高めている点です。日本の介護現場では、制度や記録様式、慣例に縛られがちですが、Cera Careの事例は「人の専門性を中心に据え、AIを補助線として使う」ことで、ケアの質と持続可能性を同時に高められる可能性を示しています。在宅介護の未来を考える上で、テクノロジーをどう位置づけるかという問いを、改めて示唆する取り組みと言えるでしょう。

 

原田 和将

一般社団法人 アジア地域社会研究所 所属
介護現場での管理者としての経験を活かした職員研修、コーチングを中心に活動。コーチングはITベンチャーなど多岐にわたる業態で展開。国立大学での「AIを活用した介護職員の行動分析」の実験管理も行っており、様々な情報を元にした多角的な支援を行う。