ケアマネジャーは、利用者の心身状況や生活環境を総合的に捉え、主治医や多職種と連携しながら、利用者の望む暮らしの実現を支える専門職です。必要なサービスの選択・調整、支援内容の見直しなど、在宅介護における相談支援の中核的な役割です。
しかし、その基盤は確実に揺らいでいます。厚生労働省の審査データによれば、居宅介護支援事業所は2025年4月時点で35,943事業所となり、5年前の同月から2,931事業所減少しています。また、ケアマネジャーの実働者数は約18万7,000人にとどまり(累計合格者73万9215人)、資格保有者数との乖離が続いています。こうした状況は、高齢化が進む中で在宅支援を担う専門職の不足感を明確に示しています。
このような現実を前に、現場では「人を増やす」だけでは対応しきれない局面に入っており、業務の中身そのものを見直し、生産性を格段に引き上げていかなくてはなりません。その具体策として期待されるのが、ケアプランデータ連携システムの活用です。
従来のケアマネ業務では、ケアプランの作成や修正だけでなく、情報の転記・共有・送付といった周辺業務に多くの時間が費やされてきました。連携システムは、こうした二重作業・重複作業を削減し、複数の事業所間でデータを効率的に共有することを可能にします。
実際の導入効果が顕著に現れているのが、宮崎県都城市でのモデル事業です。この地域では、124事業所が連携システムを導入し、ケアプラン関連業務時間の測定では、約105.8時間から40.2時間へと6割超の削減が確認されました。システム活用は、単なる効率化のための道具ではなく、在宅支援の持続可能性を高め、専門職が価値ある業務に集中できる環境をつくるための現実的な解です。ケアマネ不足が続く今、在宅サービス現場における連携システムの普及は、業務量をこなすための効率化という次元を超えて、支援の質と持続性を支える基盤になりつつあります。
原田 和将
一般社団法人 アジア地域社会研究所 所属
介護現場での管理者としての経験を活かした職員研修、コーチングを中心に活動。コーチングはITベンチャーなど多岐にわたる業態で展開。国立大学での「AIを活用した介護職員の行動分析」の実験管理も行っており、様々な情報を元にした多角的な支援を行う。
