サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)整備事業について、国の補助制度の延長と要件見直しを求める要望が国土交通省に提出されました。この制度は、サ高住や併設される生活支援・地域交流機能の整備費の一部を国が補助するもので、2011年の創設以来、供給拡大を支えてきました。しかし現行制度は今年度で期限を迎える予定となっており、建設費や家賃相場の高騰を背景に、事業環境は一段と厳しさを増しています。
一方で、入居者像も大きく変化しています。現在では90歳以上が最多層となり、住宅型有料老人ホームでは要介護3以上が半数を超えています。サ高住や有料老人ホームは、もはや自立高齢者向けの住まいではなく、医療・介護ニーズを前提とした生活の場へと性格を変えつつあります。こうした状況では、訪問看護や訪問介護、通所サービスとの連携なしに安定した運営は成り立ちません。
しかし近年、その連携の在り方を巡って「囲い込み問題」が指摘されるようになり、連携を控えめにしようとする動きも見られます。ここで注意すべきなのは、囲い込みを恐れるあまり連携を弱めること自体が、新たなリスクになり得るという点です。連携が希薄になると、急変時の判断や情報共有が分断され、誰が責任を持つのか不明確になります。これは、医療機関の立場から見れば、退院先としての信頼性を大きく損なう要因になります。
行政が問題視しているのは、連携そのものではなく、入居者や家族の選択の自由が形骸化している状態です。中核となる連携体制を持ちながら、選択肢と説明責任を担保する。その「閉じないが緩めすぎない」関係性こそが、今後の高齢者住宅運営に求められる現実的な姿と言えるでしょう。
原田 和将
一般社団法人 アジア地域社会研究所 所属
介護現場での管理者としての経験を活かした職員研修、コーチングを中心に活動。コーチングはITベンチャーなど多岐にわたる業態で展開。国立大学での「AIを活用した介護職員の行動分析」の実験管理も行っており、様々な情報を元にした多角的な支援を行う。
