30年ぶりの大幅改定、医療機関の経営支援と人材確保が狙い
政府は2025年12月19日、2026年度の診療報酬改定において、医師の技術料や人件費に相当する「本体」部分を3.09%引き上げる方針を固めました。3%台の改定は1996年度(3.4%)以来、実に30年ぶりとなります。
前回2024年度の本体改定率は0.88%と控えめでしたが、今回は医療機関の経営状況を踏まえた異例の大幅引き上げとなります。急激な物価高の影響で多くの病院・診療所が厳しい経営を強いられており、政府は賃上げによる人材確保と、経営支援の必要性を重視しました。
改定の背景:国民負担とのバランスに苦慮
診療報酬は、患者の窓口負担、公費、保険料によって支えられており、その引き上げは国民負担の増加にも直結します。政府・与党は現役世代の保険料負担軽減を政策として掲げつつも、地域医療の持続性を重視し、今回の大幅改定に踏み切った形です。
同日、高市早苗首相は片山さつき財務相、上野賢一郎厚生労働相と官邸で協議を行い、改定方針で合意しました。
薬価は引き下げ、全体ではプラス改定に
なお、診療報酬のうち医薬品などの「薬価」部分については、0.8%程度の小幅な引き下げが見込まれており、「本体」部分の増加分がそれを上回るため、全体としては2014年度以来のプラス改定となる見通しです。
正式な決定は2025年12月中に行われる予定です。
