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「日本の人口動態について」

 日本の人口は減少局面に入り、2070年には9,000万人を割り込み、高齢化率は約39%に達すると予測されています。団塊の世代が後期高齢者となる2025年以降、介護や医療サービスの需要はさらに増していき、平均寿命と健康寿命は世界でも最長水準にありながら、その差による「不健康な期間」の存在は、確実に介護需要を押し上げる要因となっています。加えて、世帯構成の変化も見逃せません。2040年には単身世帯が約4割に達するとされ、その中には高齢者単身世帯の増加が含まれます。家族の支えが得られない高齢者の増加は、地域包括ケアや介護施設の役割をより一層大きなものにしています。

 しかしそんな中で、全国120の自治体が参加する「地域ケアサービス再生存続自治体協議会」が行った調査では、58%の自治体が一部の地域ケアサービスの存続が難しくなると回答しています。特に「訪問介護」「特別養護老人ホーム」が難しいとする自治体が目立ち、理由としては中山間地域での効率的なサービス提供の困難さ、そして何より深刻な人材不足が挙げられています。これらのような地域包括ケアシステムの存続に関わる状況に対して、様々な角度で取り組みを行っていく必要があります。 ・訪問介護の効率化にデジタル技術を導入する
・小規模事業者や自治体が連携し、人材・資源をシェアする仕組みを作る
・単身世帯の増加に対応した新しい生活支援モデルを構築する

 単なる延命策ではない、持続可能な地域包括ケアシステムを築く多様な一歩を踏み出していくことが求められている現在です。まさに今、次の時代の地域ケアをデザインする姿勢が必要とされています。

 

原田 和将

一般社団法人 アジア地域社会研究所 所属
介護現場での管理者としての経験を活かした職員研修、コーチングを中心に活動。コーチングはITベンチャーなど多岐にわたる業態で展開。国立大学での「AIを活用した介護職員の行動分析」の実験管理も行っており、様々な情報を元にした多角的な支援を行う。