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HOSPITALITY 〜長先生の接遇レッスン〜 VOL.57「言葉遣い~丁寧語のすすめ~②」

思いやりとコミュニケーション
 前回は、敬語を使いこなす技術そのものよりも、それがどのように人の心に届くかが重要であるという視点から、特に「心を込めたコミュニケーション」がいかに大切かを掘り下げてみました。今回は、具体的な事例を通して、敬語とコミュニケーションの相関関係を深掘りしてみます。医学の現場での経験を元に、「心」のあるコミュニケーションとは何かを考察してみましょう。

2つの事例
 ある医療機関に足を運んだ際のことです。そこでは、まるでデパートのエレベーターガールのように、敬語を駆使して丁寧に対応しているスタッフがいました。しかし、患者さんたちは名前を呼ばれても、説明を受けても、何故か反応が鈍いのです。声のトーンは明るく、声もよく通るのに、どこか心に響かない。なぜこんなことが起こるのでしょうか。

 もう一つの医療機関では、受付スタッフが機械的に「おはようございます。どうなさいましたか?」と声をかけていましたが、患者さんたちはどの窓口からの声なのか分からずにウロウロしていました。職員は顔を上げずに作業に専念し、患者さんに対して心のこもった対応が欠けていたため、コミュニケーションがうまくいかなかったのです。

 次回はこの続きとして、言葉の選び方に関わらず、思いやりがどれだけ大切なのかをさらに掘り下げてみたいと思いますので、ぜひご期待ください。

長 幸美(ちょう ゆきみ)

(株)M&Cパートナーコンサルティング パートナー
(株)佐々木総研 医業経営コンサルティング部 シニアコンサルタント
20数年の医療機関勤務の経験を活かし、「経営のよろず相談屋」として、医療・介護の専門職として、内部分析・コンサルティングに従事。