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HOSPITALITY 〜長先生の接遇レッスン〜 VOL.54心に残る応対できていますかー2?

前回は医療機関の差別化や、少子高齢化に伴う対応についてお話ししました。今回は、より具体的に「患者さんにとって不利益にならない応対」について考えていきます。

医療接遇の基本は、患者さんの立場に立った応対にあります。患者さんが本当に必要としているサポートとは何かを考えながら、医療機関としてできることを見直してみましょう。


患者さんにとって不利益にならないか?

私も医療機関の職員として20数年働いてきました。その中で、「医療の提供により患者さんを支える」という目的のはずが、「できない理由」や「医療機関のルール」を優先し、患者さんにその都合を押し付けてしまう状況も少なくありませんでした。

当然、患者さんの評価は低くなり、悪い口コミが広がる要因にもなります。

しかし、患者さんの要望をすべて受け入れればよいというわけではありません。ルールはルールとして、伝え方を工夫することが求められます。これこそが「医療接遇」の技術です。

患者さんの治療や生活(社会的にも)にとってマイナスにならないかを考えることで、新たな知恵や対策が生まれることもあります。このような対応は、患者さんにとって納得のいくものとなります。


病院の都合を押し付けていないか?

ある医療機関がSNSで患者さんの苦情に反論した事例がありました。受付時間を過ぎて診療を断られた患者がSNSで批判的に投稿し、それに対し医療機関側が「うちのルールに従えないなら来ないでほしい」と応じたのです。

受付時間はリスクを考慮して設定されていますが、その説明が丁寧であれば問題はなかったでしょう。しかし、このような対応では医療機関の都合を押し付けているように映り、患者さんへの配慮に欠ける印象を与えます。


一歩踏み込んだ応対は心に残る

ある内科では、高齢の患者さんが「歯が痛い」「入れ歯が合わない」と相談に来ました。その際、医師は耳下腺を触診し、口の中を確認。そのうえで患者さんのご家族や住まいを確認し、近くの歯科診療所を案内しました。

この対応に患者さんは大変喜び、後日お礼に訪れたそうです。


医療接遇の基本は人間力?!

心に残る応対は、医療機関のブランド力向上に繋がります。さらに、職員個人としても評価が高まり、人間力を磨く機会となります。

相手が何を望んでいるのか、患者さんにとってプラスになるかを考え、行動することで心に残る応対が可能です。

これを機に、皆さんも少し意識してみてはいかがでしょうか?

長 幸美(ちょう ゆきみ)

(株)M&Cパートナーコンサルティング パートナー
(株)佐々木総研 医業経営コンサルティング部 シニアコンサルタント
20数年の医療機関勤務の経験を活かし、「経営のよろず相談屋」として、医療・介護の専門職として、内部分析・コンサルティングに従事。