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病院内の1ON1の取り組みについて

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医療現場では、強い上下関係が存在し、若手職員や下位職種が自由に意思を表明することが難しい場面がしばしば見受けられます。このような状況はコミュニケーションの課題を引き起こし、職場の風通しや活発な議論を妨げる要因となっています。また、医療現場は様々な専門職が混在するため、専門知識や業務内容の違いが、情報共有や意思疎通の円滑さを阻害し、「居心地の悪い職場」を作り出してしまうこともあります。

 札幌渓仁会リハビリテーション病院では、このような課題に対応するため、2018年から中間管理職の育成と成長を支援する目的で1on1ミーティングを導入しています。このミーティングは、看護職や介護職のリーダーを対象に、個々の課題を振り返り、リーダーシップを支援する場として活用されており、チームの質やリーダーシップスキルの向上に寄与しています。

 一方、株式会社カケアイが提供する「KAKEAI」というシステムがあります。このシステムは、上司と部下の面談を効率的に設定し、部下が上司に伝えたい内容を事前に登録したり、その面談結果を評価することができるものです。1on1を通じて職員のエンゲージメントを向上させることで、定着率の改善や現場マネジメントの強化が期待されています。また、面談データを活用し、AIが効果的な対応を提案してくれる機能も特徴の一つです。

 もともと企業向けに活用されていたこのシステムは、現在、教育機関向けのシステムも開発中であり、教師向けにAIが面談をサポートする機能が導入される予定です。札幌渓仁会リハビリテーション病院のような取り組みが広がり、1on1ミーティングが医療機関のスタンダードとして定着すれば、医療機関専用の1on1システムが登場する日も遠くないかもしれません。

 

原田 和将

一般社団法人 アジア地域社会研究所 所属
介護現場での管理者としての経験を活かした職員研修、コーチングを中心に活動。コーチングはITベンチャーなど多岐にわたる業態で展開。国立大学での「AIを活用した介護職員の行動分析」の実験管理も行っており、様々な情報を元にした多角的な支援を行う。