~「クレーム」を怖れず、関係を守る力~
■ 「一人で対応させない」仕組み
クレーム対応で重要なのは、個人に任せきりにしないことです。対応している職員が一人で抱え込んでしまうと、「焦り」「判断ミス」「感情的なやりとり」が生じやすくなります。
- 途中で上席がフォローに入り、「代わります」と言いやすい環境をつくる
- 場所を移動し、少し冷静になる時間をとる
- 対応を共有する文化を組織として持つ
「一緒に対応している」という安心感は、職員の心の安定にもつながります。
■ クレーム対応は「関係をつくり直す機会」
クレームはできれば避けたいものですが、見方を変えると、「関係を立て直すチャンス」でもあります。
きちんと向き合ってくれる施設だ
ここなら安心できる
丁寧に対応された経験が、こうした信頼につながることもあります。実際に、クレーム後にリピーターになる患者さんも少なくありません。
■ 職員を守る視点を忘れない
そして忘れてはならないのが、「職員を守る視点」です。すべてを受け止めることと、無理をして耐え続けることは別です。
「明らかな暴言」「過度な要求」「長時間の拘束」などはハラスメントに該当します。こうしたケースでは、組織として対応することが必要です。
クレーム対応自体がスタッフにとってかなりのストレスになります。一人に任せてしまうと、孤立・疲弊・メンタルへのダメージが生じ、仕事が続けられなくなってしまいます。
スタッフの感情を吐き出させること、危険信号への早期対応、平時からの情報共有――
「現場任せにしない」姿勢が、職員の安心感を支えます。
「現場任せにしない」姿勢が、職員の安心感を支えます。
■ まとめ ~接遇は「感情を扱う仕事」~
- 職員に余裕があること
- 一人に負担が偏らないこと
- 支え合える関係があること
人は「感情の動物」であり、ひとり一人がかけがえのない存在です。
クレームを「起こさないこと」だけに目を向けるのではなく、
不安をどう受け止めるか・すれ違いをどう修復するか・職員をどう支えるか――
接遇とは、問題をなくすことではなく、「関係をつくり続けていく力」ではないでしょうか。
クレームを「起こさないこと」だけに目を向けるのではなく、
不安をどう受け止めるか・すれ違いをどう修復するか・職員をどう支えるか――
接遇とは、問題をなくすことではなく、「関係をつくり続けていく力」ではないでしょうか。
2026年6月号 / 事務長ねっと

長 幸美(ちょう ゆきみ)
(株)M&Cパートナーコンサルティング パートナー
(株)佐々木総研 医業経営コンサルティング部 シニアコンサルタント
20数年の医療機関勤務の経験を活かし、「経営のよろず相談屋」として、医療・介護の専門職として、内部分析・コンサルティングに従事。
