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災害対応マニュアルとBCPは何が違うのか――初動対応と業務継続を分けて考える(第2回/全6回)

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こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。

今回は、在宅医療における「災害対応マニュアル」と「BCP」の違いについてお話しします。

この2つは、似ているようで役割が違います。

ここを混同してしまうと、せっかくBCPを作っても、実際の災害時に使いにくいものになってしまいます。

まず、災害対応マニュアルとは何でしょうか。

これは、地震、水害、火災、感染症などが起きた直後に、「まず何をするか」を決めたものです。

たとえば、地震が起きたら、まず自分の身の安全を確保する。

訪問先にいる場合は、患者さんとご家族の安全を確認する。

移動中であれば、安全な場所に車を停める。

診療所内であれば、避難経路を確保する。

こうした初動対応を、できるだけ具体的に整理したものが災害対応マニュアルです。

厚生労働省の手引きでも、アクションカードという考え方が紹介されています。

分厚いマニュアルを作っても、災害の直後に100ページの冊子を開いている余裕はありません。

だからこそ、A4一枚程度で、誰が見てもすぐに動けるカードにしておく。

しかも在宅医療では、スタッフが診療所にいるとは限りません。

訪問先にいるかもしれない。

移動中かもしれない。

患者さんのご自宅で医療処置をしている最中かもしれない。

そのため、災害対応マニュアルは、「診療所内での対応」だけでなく、「訪問先」「移動中」「事務所内」など、場所ごとに考える必要があります。

では、BCPは何でしょうか。

BCPは、初動対応のその先です。

災害や感染症などによって、通常業務が続けられない、または中断しそうになったときに、どうやって重要な業務を継続するか。

中断した場合に、どうやって早期に再開するか。

これを考えるものです。

つまり、災害対応マニュアルは「直後にどう動くか」。

BCPは「その後、医療機関として何を続けるか」。

この違いがあります。

在宅医療で考えてみましょう。

大雨で道路が通れなくなりました。

まず、スタッフの安全確認をする。

訪問中のスタッフと連絡を取る。

患者さんの安否確認を始める。

これは災害対応マニュアルの領域です。

しかし、その後が問題です。

今日予定していた定期訪問をすべて実施できるのか。

緊急往診は対応できるのか。

医療機器を使っている患者さんを優先するのか。

状態が安定している患者さんは電話確認に切り替えるのか。

訪問看護や薬局とどう役割分担するのか。

このように、業務をどう継続するかを判断する段階になると、BCPの出番です。

ここで大事なのは、BCPは災害の種類ではなく、業務への影響で考えるということです。

地震なのか、水害なのか、感染症なのか。

原因は違っても、結果として「スタッフが出勤できない」「訪問できない」「電子カルテが使えない」「通信が途絶える」という状況は共通して起こり得ます。

だからBCPでは、原因よりも結果に注目します。

人が足りないとき、どうするか。

車が使えないとき、どうするか。

記録システムが使えないとき、どうするか。

電話がつながらないとき、どうするか。

このように考えると、BCPはぐっと実務的になります。

また、在宅医療では、患者さんやご家族への説明も大切です。

災害時には、いつも通りの訪問ができない可能性があります。

状態が安定している患者さんについては、訪問頻度を一時的に落とすことがあるかもしれません。

オンライン診療や電話対応に切り替えることもあるかもしれません。

そうした可能性を、平時からどう説明しておくか。

これもBCPに含めて考えるべきポイントです。

BCP作成というと、難しく聞こえるかもしれません。

でも、入口はとてもシンプルです。

まず、初動対応と業務継続を分けて考えることです。

発災直後に何をするか。

その後、在宅医療をどう続けるか。

この2段階で整理するだけでも、かなり実効性が高まります。

災害対応マニュアルだけでは、業務継続までは決められません。

一方で、BCPだけ作っても、発災直後に誰も動けなければ意味がありません。

両方が必要です。

次回は、BCP作成の入口として、目的・基本方針・体制づくり、そしてリスクアセスメントについてお話しします。

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