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医科・歯科・眼科との連携、療養計画書 “書類”より“中身”が問われる時代へ(第3回/全5回)

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こんにちは。村上佳子です。

今回は、令和8年度診療報酬改定における生活習慣病管理料の見直しのうち、医科・歯科・眼科との連携と、療養計画書の考え方についてお話しします。

生活習慣病管理料というと、どうしても「点数はどうなるのか」「算定要件はどう変わるのか」という話に目が向きがちです。もちろん、そこはとても大切です。

ただ、今回の改定で私が特に注目したいのは、生活習慣病管理が、いよいよ診察室の中だけで完結するものではなくなってきた、という点です。

糖尿病、高血圧症、脂質異常症といった生活習慣病は、長く付き合っていく病気です。そして、長く付き合うからこそ、合併症を防ぐこと、患者さんの生活を支えることがとても大切になります。

たとえば糖尿病では、血糖値やHbA1cだけを見ていればよいわけではありません。目の合併症、歯周病、腎機能、足の状態、服薬、食事、運動など、見るべきことはたくさんあります。

今回の改定では、糖尿病の重症化予防を進める観点から、生活習慣病管理料(Ⅰ)・(Ⅱ)について、眼科や歯科を標榜する他の医療機関との連携を評価する仕組みが新設されています。

これは、とても大きなメッセージだと思います。

これまでも、糖尿病の患者さんに眼科受診を勧める、歯科受診の必要性を説明する、ということは現場で行われてきました。ただ、それが診療報酬上、生活習慣病管理の中で明確に評価されるようになったということは、「連携まで含めて生活習慣病管理である」という考え方が、よりはっきりしたということです。

つまり、これからの生活習慣病管理では、院長先生が診察室で「数値は落ち着いていますね」と説明するだけでは十分ではありません。

必要に応じて眼科や歯科につなぐ。
紹介した後に、患者さんがきちんと受診できているかを確認する。
その結果を、次回以降の診療や療養指導に活かす。

そうした流れも含めて、自院の管理体制として整えていくことが求められているのです。

ここで大切なのは、連携を「紹介状を出すこと」だけで終わらせないことです。

もちろん、紹介状を出すことは大事です。しかし、本当に重要なのは、その患者さんにとって必要な連携ができているかどうかです。

眼科受診が必要な患者さんに、なぜ受診が必要なのかを分かりやすく説明できているか。歯科受診が糖尿病管理にも関係することを、患者さんに伝えられているか。受診結果を、次回の診療や療養指導に活かせているか。

このあたりが、これからの生活習慣病管理の質につながっていくと思います。

また、眼科・歯科との連携強化加算については、「情報提供をしたらすぐに算定できる」というものではない点にも注意が必要です。

情報提供を行う際には、患者さんと受診予定日を確認し、次回の自院受診時に、実際に他の医療機関を受診したかどうかを確認します。そのうえで、受診状況や確認した内容を診療録に記載した場合に算定する、という流れになります。

つまり、この加算は「紹介したこと」だけではなく、紹介後の確認まで含めた連携を評価するものだと考えると分かりやすいと思います。

もう一つ、今回の改定で現場の関心が高いのが、療養計画書です。

これまで療養計画書は、医師と患者さん双方の署名が必要とされていました。今回の見直しにより、患者さんの署名は必須ではないと整理されています。

ここは、誤解しないようにしたいところです。

患者さんの署名が必須でなくなったからといって、療養計画そのものが不要になったわけではありません。むしろ、私は逆だと思っています。

署名という形式に頼らず、患者さんと治療方針や生活改善の目標をきちんと共有できているかが、これまで以上に問われるようになるのではないでしょうか。

療養計画書は、単なる書類ではありません。

患者さんが自分の検査結果を理解し、生活上の課題に気づき、無理のない目標を立てるための道具です。そして、2回目以降は、前回立てた目標がどうだったかを一緒に振り返り、必要に応じて目標を見直していくためのものです。

ですから、療養計画書の患者署名が不要になったことを、「事務負担が減った」とだけ受け止めるのは少し危険です。

確かに、署名をもらう作業が減ることで、受付や診察室での流れは少し楽になるかもしれません。患者さんに毎回説明して署名をもらうことが、現場の負担になっていた医療機関もあると思います。

ただ、本当に大事なのは、署名欄ではなく、説明の中身です。

患者さんに、今の状態が伝わっているか。
何に気をつければよいかが伝わっているか。
次回までに取り組むことが具体的になっているか。
医師だけでなく、看護師、管理栄養士、医事課スタッフも含めて、患者さんを支える流れができているか。

今回の改定は、そうした日々の診療の実質を見直すきっかけになると思います。

院内では、ぜひ一度、生活習慣病管理の流れを確認してみてください。

患者さんへの説明は、誰が、どのタイミングで行っているでしょうか。
療養計画書の内容は、患者さんに分かりやすい言葉になっているでしょうか。
眼科や歯科への受診勧奨は、必要な患者さんにきちんと行われているでしょうか。
受診予定日の確認や、次回受診時の受診状況の確認はできているでしょうか。
確認した内容は、診療録に残っているでしょうか。
紹介後の結果を、次回診療に活かせているでしょうか。

こうしたことを整理していくと、生活習慣病管理料は、単なる算定項目ではなく、クリニックの外来診療の質を映し出すものだと分かってきます。

今回の改定を通じて、生活習慣病管理は、「書類をそろえる管理」から、「患者さんと共有し、地域と連携しながら支える管理」へ進んでいるように感じます。

もちろん、現場にとっては、連携先の確保や、説明・記録の整備など、手間のかかる部分もあります。ただ、その一つひとつが、患者さんの重症化予防につながり、結果としてクリニックの信頼にもつながっていくはずです。

■今回のポイント

令和8年度改定では、生活習慣病管理料において、糖尿病患者さんの重症化予防の観点から、眼科・歯科との連携がより明確に評価される方向になりました。

眼科・歯科との連携強化加算は、情報提供を行うだけでなく、受診予定日の確認、次回受診時の受診状況の確認、診療録への記載という一連の流れを踏まえて算定する点に注意が必要です。

また、療養計画書については、患者さんの署名が必須ではなくなりましたが、療養計画そのものや患者さんへの説明が不要になったわけではありません。

これからは、書類の形式よりも、患者さんに伝わる説明、継続的な振り返り、必要な医療機関連携といった“中身”が問われる時代です。

まずは、自院の生活習慣病管理の流れを、医師・看護師・医事課で一緒に棚卸ししてみましょう。

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