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村上佳子コラム「診療報酬改定がもたらす変化と診療所の対応策」

診療報酬改定後、6月分のレセプトの請求が終わりました。取り組みをしっかりやっているところは、確実に増収になっています。 

先日訪問した病院は、これまでにない対応をしっかりと行っていることを実感しました。今まで特定疾患療養管理料を算定していたのですが、生活習慣病管理料Ⅱへの切り替えを積極的に行っていました。そのうえ生活習慣病管理料Ⅰを請求しているレセプトがかなりの枚数ありました。少し驚きですね。生活習慣病管理料は患者への説明等々、これまでの取り組みとは異なりますが、具体的な成果を上げていることが明確でした。概算で月30万程度増収します。年間では360万程度ですね。さらに、ベースアップ評価料も届け出ており、これにより収入が着実に増加しています。新しい点数に対応するためには、適切な届出を行い、月々の収入が上がるようにすることが重要です。病院は積極的に届出を行っていますが、届出を躊躇している診療所が多いのが現実です。私の関与している診療所は新点数の届出をできるだけ行いましたが、そうでない医療機関があることが気がかりです。特に今回の改定で特徴的点数であるベースアップ評価料について、診療所の動きが鈍く、ベースアップ評価料の届け出がなされていないようです。 

病院協会の理事によると、診療所は依然としてベースアップ評価料の届出が少ないとのことでした。コロナウイルス感染症が増加していますが、昨年までは特例点数を請求していましたのでそれなりの報酬が算定できましたが、今年はその請求はできません。つまり昨年よりは減収となる要因が多いということです。さらに気になることは10月からの点数改定です。マイナー保険書を使用することによる点数が10月からの変更することが7月17日の中医協で決まりました。6月から算定し始めた点数が10月に変わるわけです。診療所にどのような影響を与えるかについてはわからないのですが、情報収集を行い届け出る行為を行うかどうかで、収入に大きな差が出てくるでしょう。 

村上佳子氏

村上 佳子 氏

M&Cパートナーコンサルティング代表取締役
メディカル21代表
一般社団法人 医療実務研究会 代表理事
医療法人 南凕会 顧問 社会福祉法人 景福会 評議員
㈱総合メディカル専任講師
公益社団法人 福岡県介護老人保健施設協会理事

病院医事課に12年勤務の後、㈱医療事務サービス入社。教育システム課にて講師及び派遣社員の教育。
現在はメディカル21代表として、総合病院から単科病院・診療所まで幅広くレセプト診断・減点・請求漏れ対策指導に従事する傍ら、一般社団法人医療実務研究会代表理事として各種セミナーを企画し、九州一円の80数会員の勉強会を開催し、医療事務職員のレベルアップ指導を行う。また、医療機関の顧問として医事課をはじめ経営に直結する指導を行っている。
2006年度より公益社団法人福岡県介護老人保健施設協会理事に就任。
2014年6月より公益社団法人全国老人保健施設協会社会保障制度委員会介護報酬部会会員として活動。