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入院基本料通則のどこが変わるのか――体制基準と実績等基準を分けて理解する

こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。

今回は、令和8年度診療報酬改定における身体的拘束最小化について、入院基本料通則のどこが変わるのかを整理します。

まず押さえておきたいのは、今回の改定では、身体的拘束最小化の基準が大きく2つに分けられたという点です。

1つ目が「体制に係る基準」です。
2つ目が、令和8年度改定で新たに設けられる「実績等に係る基準」です。

令和6年度改定で入った身体的拘束最小化の基準は、今回、「体制に係る基準」として位置づけられます。具体的には、身体的拘束を行う場合の記録、身体的拘束最小化チームの設置、実施状況の把握、指針の作成、定期的な研修などです。

ここでいう身体的拘束とは、抑制帯など、患者さんの身体や衣服に触れる用具を使って、一時的に身体を拘束し、運動を抑制する行動の制限をいいます。また、身体的拘束を行う場合は、その態様、時間、その際の患者さんの心身の状況、緊急やむを得ない理由を記録することが求められます。

つまり、「抑制したかどうか」だけではなく、「なぜ必要だったのか」「どのくらいの時間だったのか」「そのとき患者さんはどのような状態だったのか」「解除に向けてどう考えたのか」が見えることが大切です。

そして、令和8年度改定で新たに加わるのが「実績等に係る基準」です。

この基準では、身体的拘束の実施割合が集計されており、1割5分以下であること、または身体的拘束の原則廃止に向けた委員会開催、病棟での解除・代替策の検討、年2回以上の研修などの取組を継続して行っていることが求められます。

ここが、今回の改定の大きなポイントです。

これまでは、「指針があります」「チームがあります」「研修をしています」という体制整備が中心でした。もちろん、それも大切です。しかし今後は、それに加えて、実際に身体的拘束をどのくらい行っているのか、解除や代替策を検討しているのか、継続的な改善活動になっているのかが問われます。

減算の考え方も整理されました。

身体的拘束最小化に関する基準を満たせない場合は、入院料等から1日につき40点の減算となります。ただし、体制に係る基準は満たしているものの、実績等に係る基準を満たせない場合は、40点ではなく20点減算とされています。

200床未満の病院で注意したいのは、「うちは大きな病院ではないから、そこまでできない」という発想にならないことです。

むしろ、小規模・中規模病院だからこそ、院長、看護部長、事務長、病棟師長の距離が近く、仕組みを整えれば動きやすい面もあります。大切なのは、立派な資料を作ることではありません。

現場で本当に使われる記録様式にすること。
委員会で実際の拘束事例を確認すること。
病棟で「明日外せないか」「この時間だけ外せないか」「薬剤や環境で工夫できないか」を話し合うこと。
研修を、単なる動画視聴で終わらせず、現場の判断に役立つ内容にすること。

このあたりが、200床未満の病院では特に重要になります。

制度上は「体制」と「実績等」に分かれますが、実務上はつながっています。体制があるから実績が改善する。実績を見て、体制を見直す。この循環を作ることが、今回の改定対応の本質です。

次回は、40点減算、20点減算を避けるために、院長・事務長・看護部長がまず確認すべき院内体制についてお話しします。