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中国の介護について

中国では現在、急速な高齢化に伴い介護体制の再構築が大きな政策課題となっています。平均寿命の延びと「一人っ子政策」の影響による少子化が同時に進行した結果、いわゆる「4・2・1構造」と呼ばれる、1人の子どもが2人の親と4人の祖父母を支える家族構造が一般的となりました。この状況のもとで、家族だけで介護を担うことは物理的にも精神的にも限界を迎えつつあります。子どもと離れて暮らす独居高齢者である「空巣老人」や、日常生活動作が自立できない「失能老人」の増加は、中国社会における新たな課題となっています。

こうした状況を背景に、中国では家族介護に代わる仕組みとして地域コミュニティを基盤とした介護体制の整備が進められています。都市部では「社区」を中心としたデイケア、訪問サービス、生活支援などの提供体制が構築されつつあります。さらに2015年以降、中国政府は「医養結合」という方針を打ち出しました。これは「医療」と「介護」を密接に結びつける連携ケアシステムであり、介護施設や在宅高齢者に対して医療サービスを提供し、医療機関と介護施設がネットワークを形成して資源を共有する仕組みです。地域の医療機関による訪問診療・訪問看護の強化や、高齢者専用窓口の設置なども進められています。

また、中国では2016年から複数都市で公的介護保険制度の試行も行われています。中でも青島市のモデルは、都市住民と農村住民を同一制度に組み込み、公費と保険財源を組み合わせて運営する点で注目されています。医療保険基金の活用や民間保険会社の運営参加など、制度の持続性を模索する取り組みも進められています。

医療ニーズと介護ニーズを同時に抱える高齢者が増える中で、医療と介護の統合は世界共通の課題となりつつあります。中国の制度改革は、日本が先行してきた地域包括ケアシステムとも重なる部分が多くあります。急速に高齢社会へ移行する中国の試行錯誤は、日本の医療・介護制度の将来を考える上でも示唆に富む動きと言えるのかもしれません。