看取り期における家族支援のあり方について 投稿公開日:2026/05/20 投稿カテゴリー:介護にエール(原田 和将) 2024年にオランダで発表された研究に、看取り期の家族支援に関する示唆に富む調査結果があります。認知症高齢者が入居する介護施設において、死亡前最後の1週間に家族がどのようなサポートを必要とし、それがどの程度満たされていたかを165名の遺族を対象に分析したものです。調査では家族へのサポートを「感情的支援」「実務的支援」「スピリチュアルケア」の3種類に分類し、それぞれの充足度と家族の総合満足度との関係を分析しています。注目すべきはその結果です。3種類すべてのサポートが家族の総合満足度に統計的に有意な影響を与えていましたが、中でもスピリチュアルケアが満足度に与える影響は突出して大きく、感情的支援や実務的支援をはるかに上回ることが統計的に示されました。ところが実際の提供状況を見ると、感情的支援は63%、実務的支援は51%の家族が「十分に提供された」と感じていたのに対し、スピリチュアルケアはわずか22%にとどまっていました。満足度への影響が最も大きいサポートが、最も提供できていないという矛盾した実態が浮き彫りになっています。スピリチュアルケアとは宗教的支援に限らず、「なぜこのような最期になったのか」「もっとできることがあったのではないか」という家族の問いに寄り添う関わりを指します。研究では、看護師がこの領域に自信を持てない背景として、体系的なトレーニングの不足を指摘しています。看取りの質は本人へのケアだけで決まるものではありません。家族満足度を本質的に高めるために何が必要か。スタッフがスピリチュアルケアを「自分ごと」として学べる機会を、施設としてどう整えるかを改めて考える時機に来ているのかもしれません。 その他の記事を読む 前の投稿厚生局の指導等及び医療監視への対応策「退院時共同指導料の算定について」 次の投稿診療報酬についての疑問「急性期看護補助体制加算注4看護補助体制充実加算1について」